和やかでいられる空間でゆっくりお食事を 大阪市西区北堀江の日本料理 和顔（わげん）”手を抜かず、背のびせず”がモットーです

先日、会報誌の取材のため、調理師学校の先生が当店に食事にお見えになりました。

事務の方がお見えになると思っていましたが、なんと私達が生徒の時に、教壇に立って講習をされていたフランス料理の先生がお見えになったので、びっくりしました。今は料理ではなく、OB会のお仕事で御活躍されているとの事でした。

一方的に私のほうが覚えているだけでしたが、とても懐かしく、学生の頃のいろいろな思い出が蘇りました。
写真でしか見た事のないフランス料理が、次々と目の前で完成していくのを見て、感動の連続だったのをはっきりと覚えています。
その感動を与えてくださった先生に、自分の料理をお出ししていることが、信じられないような不思議な感覚でしたが、嬉しく、楽しい時間を過ごさせていただきました。

昨日は、調理師学校の生徒さんが勉強に食事にお見えになりました。
様々な質問を聞いたり、私の経験をお話したりと、これもまた楽しい時間でした。

この二つの事で、原点にかえり、また新たな気持ちで仕事に取り組む事ができましたので、自分にとってとてもよかったと思います。

"原点があっての今だ" ということを忘れず、ブレずに前進して行きたいと思います。

蒸し暑い日が続いております。当店も7月の料理に変わり、涼しげな献立を立てさせていただきました。

本日は今月の前菜「胡麻豆腐と地うに」の話をさせていただきます。

お店によって"作り方"や"味"の違う胡麻豆腐ですが、当店ではまず、白むき胡麻を少し煎り、水に漬けて一晩おきます。
それをよくすり潰して、さらしに包んで胡麻のエキスを絞れるだけ絞りだし、葛を溶かし弱火で約30分練り込みます。
この練り込みがポイントで、練り続けないとだまになり、口当たりが悪くなります。また、火を強くして短時間で仕上げると、粉っぽくなる上に、粘りも出ないため独特のねちっとした食感が出せません。そして一日分を毎日練り続けることです。次の日になると固くなってしまうからです。
根気強く、休まず、焦らず、毎日続けて練る事が重要だと思います。まさに、仕事に対する姿勢がそのまま出る料理だと私は考えています。
その胡麻豆腐の上に、淡路島由良の地うにを乗せ、わさびと包丁で細切りにした海苔をあしらっております。

胡麻の香りと地うにの甘みを味わっていただける、暑い夏の一口目にぴったりな、心を込めた一品です。

本日は、当店の玄関と店内に飾っております『和紙』の話をさせていただきます。

奈良県で作られたこの和紙は、一つ一つが作家さんの手で作られており、"世界に二つとないもの" とお店の方がおっしゃっていました。

表面が小さな波状になっており、二方向から別の色で染めています。(右から見ると "青" に、左から見ると "白" に見える。というように、角度を変えて見ると違った色が楽しめます)

店内のもの(写真上)は "青と白"、玄関のもの(写真下)は "朱と緑" で染め、縦と横を互い違いにし、飾っています。

青と白には「海、波、空、雲」をイメージし、朱には「太陽」を、緑には「木、山」をイメージしました。

その四色(自然)のおかげで仕事をさせていただけている、という感謝の心を忘れないために、私からもいつも見える場所に飾りました。

御来店された際には、是非ご覧になって頂きたいと思います。

先日、私の師匠の「還暦祝賀会」がありました。

店を卒業された方や、独立された方達が全国から集まり、昔話に花が咲きました。
全寮制でしたので、寮での思い出話も多く、しんどかったあの頃も、今では笑って話せるいいネタになっていました。
今それぞれがおかれている状況も話し、先輩方が活躍されている姿を見せて頂き、がんばれる力をもらえた気がしました。

そして、この会に全国からこれだけの弟子が集まる師匠の人間性や信頼に改めて凄さを感じ、この店で働かせて頂き本当によかったと、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

「結局は、人間性でお客様は集まってくる。それを磨き、それをし続ける事が一番大切な事だ。」

と師匠は熱く私達におっしゃいました。

今は苦しくても、下を向かず、磨き続けていける自分になれる様にこの日を忘れず、日々励んでいきたいと思います。

本日は、今月の箸休め「ぬるぬる和え」の話をさせていただきます。

オクラ、なめこ、長いも、えのき、
このぬめりのある4種類のお野菜それぞれに味をつけ、小さく切り、実山椒を少し加えて和えます(この実山椒がとてもよく合い、美味しさを引き立てます)。
それを冷たく冷したボヘミアグラスに盛り込んでおります。


蒸し暑い季節、疲れた体に美味しいお料理ですので、5品のコースにも是非、追加して頂きたい一品です。